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タクロウジャシン

高円寺の片隅でのびのびと、浮かれたり、淀んだり、ゆるんだりして生きこます。

タイ日記

「週末、立川で花火大会あるけど行かない?」
極めてあっさりしたメールが高円寺連中に一斉送信されたので
「憂鬱をこじらせてじめじめしているけど俺は行く」と返信
で、当日、約束の時間に約束の場で待つ
まずミチと雪が来て、遅れてカズ、カオとテヅが食料を調達して中野駅6番線に集まった
「これで全員? バータンはよ雪」
「ケイタはなんか疲れてるからこないって」
「ふーん。あれ?ハルは?」
「ハルは頭痛いからこないって」
「クニオは来ねぇの?」
「クニちゃんには連絡すらしていない」
「はは。まぁいいか、じゃぁいこう」つって電車に乗る
現場で誰が来るのか来ないのか知る。いつもと同じ。

立川着。気分が悪くなるほどの人の渦。舐めていた。
立川にゃ悪いけど、普通隅田川行くんじゃねぇの?
東京の花火大会つったら江戸川か隅田川だろ?
今日あれだぞ、隅田川で花火大会あるんだよ、みんな知らないの?
そんなことねぇよ知ってるはずだよ。ユーメーだもん隅田川花火大会。
だのにどうしてかなー、どうして立川くんだりまで来るかなー
まぁ俺も立川くんだりまで来てっから言えた義理ゃないけどよ
もっとアクティブにいこうぜ、折角浴衣着ているのだから隅田でお披露目してこいよぉ
なんてなことを考えながら人ごみを行く。
自分の器のちっささに改めて驚かされる2009夏。日本の夏。ハポンの夏。

裾をまくり、べたべたとゴムサンダルを鳴らせながら、したたる汗を手ぬぐいでぬぐいつつ
暑ぃよ、喉かわいた、腹へった、タバコ吸いたい、涼みたい。とうねうね言う
「私トイレに行きたい」と誰かが言ったので伊勢丹でトイレを借りる。
伊勢丹は涼しい。伊勢丹は偉大だ。
ってか立川って伊勢丹もあるし西武もルミネもある、デパートがいっぱいある。舐めていた。
都心から遠いからてっきり田舎だと思っていたけどそうじゃないかも立川
デパートどころか成城石井もスタバもない高円寺の方が遅れを取っているのではとすら思う

がんばれ高円寺! 高円寺のスタバのみ喫煙OK的な流れで頑張れ高円寺!

用を足し、だんだん文章を書いていくテンポもあがってきてヒグラシ
会場である昭和記念公園に向け人の波の中よちよち歩く
右斜め前も左斜め下も浴衣娘を連れた野郎がいっぱい。
そんな男なんぞ見限って、俺に惚れろ、案外知らない世界が詰まってますゼ的な新規の呪詛を撒き撒き
ようやく到着したのは広大な芝生の大地とその上に張りついた隅田川に行かなかった人人人

ああけっこう人いっぱいいるね。でも身動き取れないほどの人ではない。
全然余裕、空いている方だ。なんてポジって空いている場所を探してぐんぐん進み
適当な所にシートを敷いて食物と酒を展開する




【 展開図 】



ふあふあの芝生のうえに敷いたシートもふあふあで気持ちいい。ふあふあタイム
ビールを飲み、ナゲット、ネギトロをばくばくいく。空腹だった。一息ついた。

立川着いた時はあまりの人の多さに尻込みしてたけど
いざ腰を落ち着かせ空腹が満るとこれ以上ない安堵に身がたゆたう
ああー楽 風が気持ちいい
日はすっかりとおちて、東の空、深い藍色、地平線は紅
張りついたような三日月の輪郭がくっきりと見える
暑くもない、寒くもない、涼やかだ。ああー楽。と弛緩しきった頃、バン。
続いてバンバンバンと景気よく、前振りなく、唐突に右手の空に花火があがる




【 そして、ほら。また花火が見えない。 】


昨年の江戸川花火大会に引き続き、今年も、また
花火が見えない画期的な花火大会2nd
参照日記 2008年8月2日「ムスカの気持ち」

まじかよー げらげら。今年もか!? 今年もだ! げらげら
つくづく場所取り運に見放されているらしい
自分らの周りに陣取っていた人達はきゃーとがぎゃーとか言って立ち上がり
我先に花火が見える前方へぐんぐん詰めていった
おかげで僕らのまわりに人が居ない
「どうする?俺らも動くか?」と便宜上問うたけど面倒だから俺はいやだ
案の定皆さんも面倒だからここでいいんじゃね?的な自堕落な感じになっているし
花火が見えないつっても去年よか見える
去年は花火のひとかけらしか見えなかったけど、今年は頭半分見えるからよい
この調子ならきっと来年は3/4、再来年には丸ごと見れるかもしれない。

そういった具合に変な方向にポジティブな自分たちは頑としてそこを動かず
酒盛りをしてハーフ花火を見る

そして気づいたこと
・この花火大会の打ち上げ場所は大まかにわけて3つスポットがある
・1スポット.左奥
 主に小振りの花火が連発する場所。
・2スポット.中央
 中玉の単発花火があがる(上の写真参照)
・3スポット.中央やや右寄り
 大玉の花火が打ち上がる

1スポットは目の前の木が阻んで何も見えない
2スポットは目の前の木が阻んでハーフしか見えない
しかし、しかしだ
3スポットは超見える。大玉だからひときは高く打ち上げられるので木も邪魔にならない
大玉見るだけならば最高のスポットじゃないか、なははは、なはははは

どっかーん




【 大玉 】


余韻残しのあの火のばらばら、和花火ってのこれ、これがとにかくでかくて綺麗だった
思わず拍手をしたら会場で拍手が巻き起こって一体感

「あれは朝顔」
「あれ?文字?」
「私このしゅるしゅるってのが好き」
「あっ赤、ピンク、そして青、緑、すげー」
「どうやって作るんだろう…」
「ヒューって来た、来た、来た、はいドーン、すげー でけー きれー」
「またヒューって来た、来た、チョロ、チョロ毛じゃねぇか、はは、おおおおお!こうなるんかぁ!!」
「そしてほらまたそっちの見えない方で上げるぅ、この間にわたくしは飯を頂きますよ。」
などなど
どうして花火を見ていると人はよく独り言を話すのだろうか?
空を仰いでいるとどうでもいい端的な感想を誰に言う訳でもなく述べるのか?
いくつかの疑問が渦巻く。人間って不思議。

なんのアナウンスもなく、なんのカウントダウンもなく
唐突に始まった打ち上げ花火は、唐突に終った
不思議なもんでああこの花火で終わりだな、ってのがわかる
これがわびさびか? これが察する心を持った日本人の感覚なのか?
なんにせよこういう感覚は大事にしていきたい。

数千人が歩行者天国を歩いて駅へと向かうその姿を
街灯の強烈なオレンジ色が照らしている
辻辻に立つ警察官はハンドマイクで歩行者を誘導していて
この全てを俯瞰で見ると、
「立川にガメラが襲来したので一斉避難する」とはこういう感じかぁ
へぇ、なるほどねと妙に納得している自分がいます。

トイレを借りにルミネへ立寄り、閉店間際のアクセサリーショップをぷらぷら歩んでは
また綺麗な店員さんがいて軽く恋をした後
各々デパ地下でアイスやジュースだの買って合流して電車に乗って家に帰る。

ひとり高円寺の駅で降りて、駅前の漫画喫茶で午前二時まで漫画を読む。
おもしろい。漫画はおもしろい。でもやっぱ空しいよ。
誰かそばに居てくれ。
花火のあとのこの自分の不発な感じがやるせなくてしかたねぇ。
 
 
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